「両手がふさがったまま議事録を取りたい」「英語の技術ドキュメントを目の前で翻訳してほしい」——エンジニアとして働いていると、そんな“あと一歩”の願望が積み重なっていきます。そこで筆者は2026年に入ってから話題のAIスマートグラスを3機種、実際に業務に持ち込んで試してみました。というのも、今年はRay-Ban Metaがついに日本上陸し、国産のVIVE Eagleも登場して、ようやく「仕事道具」として選べる年になったからです。この記事では、エンジニア目線でどれが本当に使えるのかを本音で語ります。
そもそも、なぜ今エンジニアがAIグラスなのか
スマートグラスと聞くと、数年前までは「未来のガジェット」「ちょっと早すぎるオモチャ」という印象が強かったはずです。筆者も正直そう思っていました。とはいえ2026年の状況はまるで違います。Metaのスマートグラスは世界累計700万台を突破し、市場は「AIアシスタント中心の実用段階」に入りました。
なぜエンジニアと相性が良いのか。それは、私たちの仕事の多くが「情報の入出力」で成り立っているからです。会議の議事録、英語ドキュメントの翻訳、リモート会議中のメモ——こうした作業は、手を止めてキーボードに向かうたびに集中が途切れます。だからこそ、視線や声だけで完結するインターフェースの価値が高い。ハンズフリーで情報を扱えることは、地味に見えて生産性へのインパクトが大きいのです。
今回比較した3機種
2026年時点で、日本で現実的に手に入り、かつ業務で使えるモデルとして次の3つを選びました。タイプがきれいに分かれているので、比較にちょうどいい組み合わせです。
- Ray-Ban Meta(Gen 2):カメラ搭載・ディスプレイなしの「AI+撮影」型。73,700円〜
- VIVE Eagle:国産・会議の文字起こしに特化した「AIメモ」型。82,500円〜
- Even G2:カメラなし・両眼ディスプレイの「情報表示」型。99,800円
Ray-Ban Meta(Gen 2):まず1台目に選ぶなら
結論から言うと、初めてのAIグラスとして最もハードルが低いのがこれでした。2026年5月21日に日本発売、価格は73,700円からと、この手のデバイスとしては手が届きやすい。見た目は完全に普通のレイバンなので、オフィスでかけていても浮きません。ここが想像以上に重要で、筆者も1週間かけっぱなしにしましたが、周囲に「それ何?」と聞かれることはほぼありませんでした。
実際に使って感じたこと
1200万画素の超広角カメラを搭載し、3K画質の動画まで撮れます。ホワイトボードに書いた設計図を「これ、あとで見返したい」と思ったとき、声をかけるだけで撮影できるのは地味に便利でした。そしてMeta AIに話しかければ、今見ているものについて質問もできます。バッテリーは最大8時間駆動なので、日中の業務ならまず切れません。
注目したいのがライブ翻訳です。発売当初は日本語未対応でしたが、2026年6月末のアップデートで日本語に対応しました。海外のカンファレンス動画を眺めながらリアルタイムで意味を追える体験は、英語ドキュメントと日々格闘するエンジニアにとって刺さるはずです。ただ、ディスプレイがない分、翻訳結果は音声で返ってくる点は好みが分かれるところ。文字で残したい人には次のVIVE Eagleが向いています。
VIVE Eagle:会議が多い人の議事録マシン
HTC NIPPONが2026年4月に発売した国産モデルで、価格は82,500円から。このグラスの主役は、なんといっても「VIVE AI Notes」です。会議の録音・文字起こし・要約を自動でこなしてくれる機能で、打ち合わせの多いエンジニアやテックリードには刺さる一台でした。
筆者が試したのは、社内の30分の設計レビューです。グラスをかけたまま議論に集中し、終わったらスマホに要約が届いている——この体験はちょっと感動しました。というのも、これまで議事録係を買って出ると発言に集中できず、逆に発言に集中すると記録が抜ける、というジレンマがあったからです。それが片方の負担ごと消えた。国産で日本語の文字起こし精度が高いのも安心材料です。
ただし注意点もあります。購入後24ヶ月は無料ですが、その後は「VIVE AI Plus」というサブスクへの加入が前提になります。長く使うつもりなら、ランニングコストを頭に入れておいたほうがいい。とはいえ、議事録作成にかけていた時間を時給換算すれば、十分に元は取れる計算です。
Even G2:目の前に情報を出したい人へ
最後は毛色の違う一台。Even G2は99,800円で、カメラを搭載せず、代わりに両眼にMicroLEDディスプレイを積んでいます。解像度は640×350の緑単色と控えめですが、視界の中にさりげなくテキストを表示できるのが特徴です。ナビや通知、翻訳結果を「見る」ことに振り切ったモデルと言えます。
そして特筆すべきは装着感です。チタンフレームで重量はわずか36g。かけていることを忘れるレベルで、長時間のデスクワークでも疲れませんでした。カメラがないぶんプライバシー面で周囲に警戒されにくく、会議室に持ち込んでも角が立たない。AI機能が現時点でサブスク不要という点も、地味に良心的です。
とはいえ、カメラがないので「見たものをAIに聞く」使い方はできません。そこは割り切りが必要です。あくまで「情報を目の前に表示する端末」として捉えると、評価が正しく定まります。
結局、エンジニアはどれを選ぶべきか
ここまで読んで、迷っている人も多いはずです。そこで用途別に整理します。まず、とにかく最初の一台で失敗したくないならRay-Ban Meta。価格・見た目・完成度のバランスが最も良く、AIグラスの入門機として鉄板です。
次に、会議や打ち合わせが業務の大半を占めるなら迷わずVIVE Eagle。議事録の自動化という一点突破の価値が、値段とサブスク料金を上回ります。そして、撮影や録音より「視界に情報を出す」体験を重視し、軽さとプライバシーを大事にするならEven G2が刺さります。
筆者自身の結論を言えば、日常のメイン機はRay-Ban Meta、会議が続く日はVIVE Eagle、という2台持ちに落ち着きました。1台ですべてをまかなうにはまだ各機種の個性が強すぎる、というのが2026年前半の正直な実感です。ただ、それだけAIグラスが「実用の道具」として選べる段階に入った証拠でもあります。気になった機種があれば、まずは一番ハードルの低いRay-Ban Metaから試してみるのがおすすめです。仕事の景色が、思ったより早く変わりますよ。


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